ROCKY
『ロッキー』(Rocky)は、1976年のアメリカ映画。また、「イタリアの種馬」の異名を持つ同作品の主人公の名前でもある。配給会社はユナイテッド・アーティスツで、監督はジョン・G・アヴィルドセン。主演・脚本はシルヴェスター・スタローン。第49回アカデミー賞 作品賞ならびに第34回ゴールデングローブ賞 作品賞受賞作品。また、2006年に米国連邦議会図書館がアメリカ国立フィルム登録簿に新規登録した作品の中の1つである。

WOWOWロッキーシリーズが一挙に放映されていた。
六作目になるRocky Finalはまだ見ていなかったので助かった。またエアチェックにより所蔵がコンプリートもされた。嬉しい限りである。

思えばこの作品が公開されてもう32年である。最終作ではロッキーも還暦だ。

実はこのロッキー作品を好きになったのは大分後年になってからである。世間では色々と騒がれはしたが当時は子供だったせいか興味をそそられなかった。
感動の名作とのことではあったが、ボクシング題材であったことも当時は知らなかった(笑)。

初めて見たのは高校を卒業する頃なので随分遅れての鑑賞。
シリーズで言うと『ロッキー4 炎の友情』が公開されている頃だ。
・・・ハマった。面白かった。当時の自分の心情にもフィットしたのだろう。

恐らく完結と思われた『ロッキー4 炎の友情』から程なくして『ロッキー5 最期のドラマ』が公開された。
この映画のファンではあったが、予想していた通り蛇足的な内容であった。これが最期なのであればこの名作の幕切れとしては寂しすぎると思われた。

そして、まさかの『ロッキー6 ファイナル』の製作が発表になる。
・・・本当にまさかであった。
主演であるシルベスタ・スタローンの年齢も還暦を越えている。今更ロッキーじゃないだろうと。
『ロッキー5 最期のドラマ』が既に蛇足だったのに更に上塗りすれば折角の作品が台無しになるとも思われた。
・・・
だが、しかしである。

【ロッキー6 ファイナル】
Rocky Final
『ロッキー』シリーズの6作目であり、『ロッキー5/最後のドラマ』(1990年)以来、16年ぶりの続篇。
4作目『ロッキー4/炎の友情』以来、再びシルヴェスター・スタローンが監督・脚本・主演を務め、今作がシリーズ完結篇と銘打たれている。日本でのタイトルは完結篇と言うこともあり、それまでのような『ロッキー6/ザ・ファイナル』と言ったようなタイトルの付け方をせず、予告編などでは堂々と『ROCKY THE FINAL』と記され、アルファベット表記のロゴも存在するが、原題は『ROCKY BALBOA』という題名であり、ロッキーのフルネームがそのままタイトルとなっている。

傑作であった。
最期を飾るに相応しかった。
シリーズ1〜2は文句なしの名作だったが、それ以来の作品である。ロッキーという人間像に迫り、過去シリーズからの大きな流れに一つのピリオドを打つ仕上がり。

まだ駆け出しのスタローンが自ら脚本を書き売り込んだとき、そこに描かれていた自らの美意識を重ねたキャラクターであるロッキーの原点に回帰した作品に仕上がっていた。

愛するエイドリアンが他界し、息子は反発し放蕩、自らはボクシングを離れ場末のレストラン経営者に。変わり果てた舞台から物語が静かに始まる。
一作目に登場し忘れかけていたキャラも登場する(これは通し放送していたおかげで気付く事が出来て感謝である)。物語自体が一度原点回帰をして終息していくのだ。

このロッキーという物語は好みも分かれるところだろう。スポ根ものが嫌いな人であればなかなか魅力を感じることはないだろうし。
しかし、この物語の本質はボクシングというスポーツを媒介して貧しき人へ贈るエールなのだと思うのだ。主人公のロッキー・バルボアとはそういう貧しき人(金銭的な面だけではなく、社会的な)の具現なのだろう。
そのロッキー・バルボアが努力や愛によって豊かさを知り、人間的にも大きく変貌を遂げていく。人間は歩みを絶やさねば成長出来るのだというメッセージがそこには込められているのだと思う。

【Theme From "Rocky" : Maynard Fergason】


【Theme From "Rocky" : Maynard Fergason Tributo Session】


"ROCKY"と言えばテーマソングも欠かせない存在感だ。
今回の『ロッキー6 ファイナル』でもこの音楽がふんだんに取り入れられ、今までのようなタイアップのロックなどは影を潜めている。
自分的には作品の重厚さを表現するためにそのほうが良いと思う。

上の動画はビル・コンティの作曲したこのテーマソングにインスパイアされチューンしたメイナード・ファーガソンの演奏。比較的最近のライブ映像である(とは言っても二十年以上前ではあるが)。
当時でも相当に年齢を召されている筈なのだが驚異的なハイ・ノートを聞かせてくれる。はっきり言ってバケモノである。

下の動画は2006年に他界したファーガソンをトリビュートしたセッションである。現代を代表するハイ・ノート奏者の競演である。豪華な絵だ。


このテーマソングも中学生時分からよく吹奏楽部で演奏していたが、あまり好きではなかった。原曲をあまり知らなかったのと、あまりにも陳腐なアレンジのせいで曲のよさがわからなかったのである。

この完結編でこの物語は頁を閉じることになるが、自分の中では人生としてこれからではないかと思う。スタローンは閉じた頁の向こう側に託した意味を各々が想像して欲しい余地を残したのではないだろうか。